ホットで楽しむカクテル、アイリッシュコーヒー。
直訳すると『アイルランド風コーヒー』といったところでしょうか。
コーヒーでありながらお酒であるこのカクテルが考案された背景には何があったのでしょうか?
アイルランドにちなんだその歴史や起源などを調べてみました。
カクテルのアイリッシュコーヒー、名前の意味は!?
アイリッシュコーヒー誕生のきっかけになったのは、1940年代のアイルランドの水上飛行場でした。
当時のプロペラ飛行艇は機密構造ではないため暖房があまり効かない上に、飛行を継続できる距離も短かったので、長距離飛行の場合は経路途中にあるアイルランドの港町にあるフォインズ空港で給油する必要があったのです。
アイルランドは緯度が高く、冬場はかなりの寒さでしたが、乗客は給油の度に飛行機から外に出され、水上ボートで待合室へ行かなくてはいけなかったそうです。
そんな乗客の体を温めるために、待合室にあるラウンジのシェフであったジョセフ・シェリダンが考案したのがアイリッシュコーヒーの起源だったと言われています。
温かいコーヒーにこの地方で作られていたアイリッシュウイスキーを入れ、さらにこの地の良質な牛乳を使った生クリームを浮かべた飲み物は、たちまち乗客たちの間に人気になったということです。
そして口コミなどで徐々に世界へ広まり、1952年にアメリカはサンフランシスコの人気カフェ『ブナ・ビスタ・カフェ』に取り入れられたのがきっかけで認知度がぐっと上がったのだそうです。
ちなみにこのカクテル、アイリッシュウイスキーを使うから『アイリッシュコーヒー』なのですが、他のウイスキーやリキュールとコーヒーを合わせると別の名称になります。
スコッチウイスキーの場合は『ゲーリックコーヒー』、バーボンウイスキーの場合は『ケンタッキーコーヒー』、コニャックの場合は『ロイヤルコーヒー』、カルヴァドスの場合『ノルマンディーコーヒー』といった具合なのだそうです。
面白いですね。
まとめ
アイリッシュコーヒーの起源は20世紀半ばだということですので、そこまで古いものではないようですね。
寒さに凍える飛行機の乗客の体を温めようとして考え出された温かいドリンクが、今やほろ苦いコーヒーとアイリッシュウイスキーとミルクの調和を楽しむおしゃれなカクテルとして、世界に広まったのです。
アイルランドならではのアイリッシュウイスキーと乳製品で作られたアイリッシュコーヒーは、まさに『アイルランドのコーヒー』と言えるでしょう。